ThinkPad X1 Carbon の使用感

はじめに

ThinkPad の Ultrabook X1 Carbon のモニタ機の申請をしていたのだが、先日運良くお貸しいただくことができた。

つい数日前 Windows 8 のタッチパネルに対応した ThinkPad X1 Carbon Touch が販売開始されたが (個人向けモデルは 2013/01/25 より)、手元に届いたのはその最新機種ではない。販売開始が Lenovo の直販で昨年の夏頃 (2012/08/30) で、すでに多くのレビューがあることもあり、ここでは細かいことは割愛して、いくつかのポイントに絞ってレビューしたいと思う。

スペック

お借りしたのは ThinkPad X1 Carbon (34434LJ)。

CPU Core i5-3317U (1.70GHz, 3MB, 1600MHz, 第3世代 Ivy Bridge)
メモリ 4GB PC3-10600 DDR3L (1スロット使用)
グラフィックス インテル® HD グラフィックス 4000 (CPU内蔵)
ディスプレー 14型ワイド (1600×900 300nit LEDバックライト 光沢なし), HD 720p対応カメラ
ポインティング・デバイス ウルトラナビ (TrackPoint + クリックパッド), 指紋センサー
キーボード アイソレーション 6列, LED バックライト
ストレージ SSD 120GB (SATA 6G, SD5SG2128G1052E)
無線通信機能 インテル Centrino Advanced-N 6205S (2×2 AGN), bluetooth 4.0
インターフェース USB 3.0×1, Powered USB 2.0×1, mini DisplayPort出力, SDカードスロット, ヘッドホン/マイクコンボ端子
サイズ 幅331×奥行き226×高さ8–18.8mm
質量 約1.36kg
バッテリー 4セル リチウム・ポリマー バッテリー (駆動時間 約7.7時間)
OS Windows 7 Home Premium SP1 64bit

2011年5月に投入された ThinkPad X1 シリーズから、(1) さらなる軽量化、(2) ディスプレイの高解像度化、(3) 長時間のバッテリー駆動、というユーザーからのフィードバックを反映したのが、この ThinkPad X1 Carbon (以下 X1C) とのこと (cf. 大和の技術者が語る ThinkPad X1 Carbon のここがすごい)。

これらのポイントを順番に見ていく。

レビュー

(1) 軽量化

X1C は ThinkPad 史上最薄を謳う。最厚部で18.8mm。

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_ususa.png

MacBook Air との比較:

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_mba_ususa.png

重さは下の画像のように実測でも 1.359kg で、公称値 1.36kg の通り。14型では世界最軽量という。

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_omosa.png

機種名の由来ともなっている天板のカーボン素材 (炭素繊維強化プラスチック, CFRP) の強度は人工衛星にも利用するグレードらしい。こうしたところに Ultrabook と言えど ThinkPad の堅牢性の伝統がある。

このカーボン素材は、写真ではあまりよく伝わらないが、実際に使用するとかなり好印象を受ける。高級感があり、手触りも心地よく、薄くても頑丈さを感じる。

(2) ディスプレイの高解像度化

ディスプレーに 14型 (1600×900) の非光沢液晶パネルが採用されている (X1が13.3型)。X1 に比べて高解像度になったが、サイズそのものは縮小されており、13インチの MacBook Air と比べても殆ど違いがない。

MacBook Air とのサイズ比較:

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_mba_size.png

サイズそのものは変えないままで高解像度を実現するために、液晶ベゼルの幅がかなり狭くなっている。

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_bezel.png

MacBook Air との比較:

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_mba_bezel.png

実は私は MacBook Pro など Apple 製品の液晶ベゼル部分の幅の広さ (Unibody化 した 2008 年以降) が気になっていたので、X1C のこの変化はとてもうれしく感じた。ノングレア液晶であることも好印象である。液晶は IPS ではないものの TN 液晶としてはかなりよい色彩だと感じる。モニタ機の液晶は LG 製の LP140WD2-TLE2 であった。

いくつかのレビューを見ていると、14 型は持ち運びには大きすぎるという意見が見られる。納得できる一方で、私の場合 PDF を参照する場面が多く、特に雑誌や書籍など見開きでスキャンされた画像を拡大せずに読むことができるかどうかを、PC液晶サイズを選ぶ時の指標としている。その目的には 11型では少し小さすぎる。私にとっては X1C くらいの大きさの液晶画面は、持ち運びと実用性を秤にかけたちょうどよい位置にあると感じる。

Adobe Reader での PDF 閲覧 (クリックで X1C の実際のサイズ):

x1c_pdf.png

個人的にはこれくらいの文字サイズのものが見開きで拡大せずに読めるとうれしい。

(3) 長時間のバッテリー

バッテリー駆動時間はカタログ値は約 7.7 時間と Ultrabook としては平均的である。実際に、X1C で今書いているこの記事のメモをとったり、Web で情報を得たり、と日常的な作業で使用したところ 4時間強ほどでスリープ状態に入った。

バッテリー充電は高速で、実際に時間を計ってみたが1時間半程でフル充電になる (35分で約8割充電の RapidCharge)。ACアダプターは 90W の大型タイプ (400gほど) で日常的に持ち運ぶのは少しためらわれる。

バッテリ自体は内蔵で交換不可能なので、モバイルに特化した機種としては、将来的にはバッテリーはもう少しもって欲しいところである。

その他操作性・拡張性など

操作性

モニタ機 (34434LJ) のエクスペリエンスインデックス:

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-experience_index.png

CPU に負荷を掛けるため、 HandBrake を使用して 4.2GB の ISO ファイル (DVD) を mp4 に変換してみた。CPU 使用率はほぼ100%あたりまで上昇する。

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-handbrake_cpu.png

ただし、このような高負荷の作業を行なっても、Web 閲覧やエディタでの作業など、他の動作をまったく受け付けない、というところまではいかない。私の使用ではモバイル用途としてはこの程度の作業に問題なければ十分である。ただし、仮想化やAdobe製品など、メモリ・CPU を占有するアプリケーションを多用する場合は他機種を選択した方がよいかもしれない。

キーボード

キーボードは6列アイソレーションだが、打鍵感はすこぶる良い。筐体がこれだけ薄いのでペラペラのキーボードが想像されるが、薄いなりにも (キーストローク約1.8mm) それなりの重量の打鍵感があり、けっして安物のキーボードという感じはしない。明るさの調整 (2段階) のできるバックライトも搭載されている (Fn + Space)。また、防滴性能も向上しているようである。

ポインティングデバイス

ThinkPad のトラックポイントは言うまでもなく、タッチパッドの方の操作感も良好である。ガラス製のタッチパッドには、アンチグレア処理とアンチスレッジ処理を施すことで表面をざらつかせて、指の動きをスムーズにしているという。二本指操作だけでなく、三本・四本指の操作もほとんど Apple のトラックパッドの操作感と同等の快適さ。このタッチパッドの改善にもかなり力を入れていることが伺える。

インターフェース

薄型化の代償としてインターフェースはかなり限られており、Ethernet 端子やアナログ RGB 出力端子はない。それらを利用したい場合は USB や Mini DisplayPort のアダプターを別途購入するする必要がある。また、室内でこれらのポートを使う場合は、ThinkPad USB 3.0 ドックの購入でも対応できる。外出時に変換アダプターを携帯するのは案外面倒なので、せめて HDMI ポートは欲しかったという印象がある。

拡張性

基本的にパーツ交換は不可能である。小型化と軽量化の実現のため、メイン基板に実装されるパーツ単位で無線 LAN モジュールが開発されたようだ。したがって、一般的なミニハーフサイズではなく交換は不可能。搭載されている Centrino Advanced-N 6205S は、2×2 のデュアルストリームで 2.4GHz/5GHz に対応し、スループットは最大 300Mbps (理論値) までの対応。手元の機器で 5GHz 帯で接続 (300Mbps) を確認した。

また、SSD も専用のもの (SanDisk 製の SATA 6G, 手元のモニタ機は SD5SG2128G1052E) が用いられており、個人での交換は不可能なようだ。

無線LANモジュールとSSD:

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_ssd_lan.png

SSD の CrystalDiskMark のベンチマーク:

https://skalldan.files.wordpress.com/2013/01/wpid-x1c_bench.png

メモリも特別のもの (Elpida) で、直販の上位機種 (Core i5-3427U, Core i7-3667U) は 8GB 搭載しているが、個人での増設は不可能である (M/B に直付けされている)。詳しくは こちらのブログ の方が見やすい写真付きでまとめてくださっている。

まとめ

以上、簡単にレビューしてみた。

使ってみた感想としては、まずはとにかく見た目が良いということ。これは Ultrabook の要素としては案外重要な点だろうと思う。名称の由来ともなっているカーボン素材の触れた感じも非常に良く、丈夫さへの安心感もあり、使用することが楽しくなる。

ただし、ThinkPad シリーズであることの (悲しい?) 定めと言おうか、スペックそのものは他の Ultrabook と同等かそれ以上のものがあるが、どうも他の ThinkPad シリーズと比較されて見られてしまう。つまり、堅牢性の有無や、伝統的な7列キーボードかどうか、インターフェースの充実さや、拡張性の有無などなど、これらを基準に判断されてしまい、結果 X1C のスペックだけ眺めているとあまり魅力的な機種に見えてこない、ということがあると思う。

これは ThinkPad に信頼を置いてきた固定ユーザーがたくさんいるからこその反応であろうが、X1C に関して言えば、とにかく実際に手にとって見るとその印象は随分変わる、ということをここでは強調しておきたいと思う。素材の Carbon だけをとっても十分に魅力的であるし、キーボードも薄型の PC とは思えないほどの快適な打鍵感を実現している。また、従来の ThinkPad ユーザーにはあまり注目されないかもしれないが、タッチパッドの操作性の良さは、この分野の先駆けである Apple 製品と十分比肩できる完成度だと思う。

不満点をあえて上げるとすると、まずはバッテリの駆動時間。実測で 4時間強だったが、これは少し不安に感じる。理想を言えば一日充電なく使用出来るくらいがよい。また、ACアダプタが急速充電に対応している点は頼もしいが、携帯するのにやや大きい (400g) のは、せっかくの軽い本体自体の良いイメージを損なっている印象がある。また、外部インターフェースが限られるのは軽量モバイル機器の携帯性と実用性の折衷案として納得できるが、例えば、外部モニタに出力する HDMI くらいはせめて欲しかったかなと感じる。かなりわがままを言って、不満点はこの程度。

なお、SSD・メモリ・LANカード・バッテリ等の個人での交換は不可能なので、購入時には延長保証加入分の料金は予算に入れておいた方が良いと思う。保証期間外での交換はかなり高価になることが予想される。

率直に言って、できればこの X1C 欲しいと思う。個人的にはこれに Linux (Debian/Ubuntu) を入れて使用できると最高なのだが、そこまでモニタできないところがもどかしいところである…

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