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紹介
私のメインで使用しているマシンは MacBook Pro (Early 2008) で、仮想マシン上で Windows XP を使用することもある。もう一台モバイル用として ASUS の UL20A を所有していて、これには Ubuntu 11.04 (Natty Narwhal) が入っている。Ubuntu は 10.04 (Lucid Lynx) がリリースされた頃に実用と勉強を兼ねて使い始めたのでもう一年以上経つが、特に不満なく快適に使用している。私にとってモバイルパソコンは以下のような条件を満たせば十分である。
- 文書を編集しメモが取れる。
- ネット閲覧がスムーズにできる。
- ファイルや辞書類がストレスなく検索できる。
3 のファイルや辞書の検索はある程度スペックがないと時間がかかることがあるだろうから Netbook ではなく CULV ノート (Celeron SU2300, 1.2GHz) にした。他の作業、例えば Microsoft Word や Acrobat Pro などを使いたい時は MacBook Pro で作業する、と決めておけばいい。
Mac 上ではブラウザは Firefox、エディタは Emacs を使用しているので、ほとんどの場合 Ubuntu でも同じように操作できる。Mac と Ubuntu の共通の作業ファイルは Dropbox で共有している。以下では Mac の操作感を模倣するために、Ubuntu 上で行っている設定がいくつかあるので、思いつくままメモしておく。
設定
Launcher
Mac 上では Dock や LaunchBar を利用してアプリケーションを起動しているが、Ubuntu では 11.04 から採用された Unity のランチャが利用できる。Default では Super キーで起動し、インクリメンタルにアプリケーションを検索できる。
また Synapse という Mac の Quicksilver のようなインターフェースを備えたランチャも用意されている。
Default では起動が「Control + Space」となっており Emacs の「mark set」にぶつかるので、両者を使用する場合は適宜変更しておく。
Fonts
Mac の魅力の一つとしてヒラギノフォントが使用できることをあげる人は多いだろう。見た目の良さと操作性は大いに関係すると思う。Ubuntu の GNU Emacs (23.2.1, x86_64-pc-linux-gnu, GTK+ Version 2.24.4) では以下のようなフォントに設定している1。
- ASCII: DejaVu Sans Mono
- 日本語: Takao フォント
- 中国語: 文泉驛微米黑
- 韓国語: Baekmuk Dotum
- サンスクリット語: Chandas
- チベット語: Tibetan Machine Uni
Input Method
Mac では Google 日本語入力を使用しているので、Ubuntu でもそのオープンソース版 Mozc を scim 経由で利用している。Emacs からは mozc.el を導入することで (scim を介さず) 直接 Mozc を利用できる2。Emacs の設定ファイルには次のように書いている。
(require 'mozc) (defun toggle-input-method-japanese () "Toggle japanese input method." (interactive) (if (equal current-input-method "japanese-mozc") (inactivate-input-method) (progn (set-input-method "japanese-mozc") (set-cursor-color "brown")) )) (global-set-key [henkan] 'toggle-input-method-japanese)
Trackpad
Mac のトラックパッドの操作感は一度慣れてしまうと離れられない。Ubuntu マシンですべて再現することは不可能だが、Synaptics ドライバを使用するタッチパッドなら、以下のように GUI 設定画面 (マウスの設定) で二本指スクロールが選択できる。
「ポインティングデバイスの設定」(gpointing-device-settings) でも二本指での操作を有効にしておく。ちなみに私の環境のデフォルトの設定では、Control キー + 二本指スクロールで画面の拡大・縮小、二本指タップ (TapButton2) でスクロールホイールクリック (センタークリック)、三本指タップ (TapButton3) で右クリックの動作となっている。
Time Machine
Mac では何度か Time Machine に助けられたが、モバイル PC としての Ubuntu では基本的に Dropbox 上のファイルを編集することがほとんどで、Dropbox はバージョン管理もできるのであまり心配はしていない。定期的に外付け HDD に Backup は取るようにしているが、最低限のものだけ rsync で同期している (cron で自動化)。Ubuntu 用の Time Machine Like な TimeVault というバックアップツールもあるようだ。
Growl
Libnotify ライブラリをインストールすると (apt-get install libnotify-bin) Ubuntu でも Mac の有名なデスクトップ通知システム Growl に類似した機能が利用できる。cron で使用する場合次のように環境変数 DISPLAY を付加する (cf. notify-send で通知ポップアップを表示する)。
0 */1 * * * backup.sh && DISPLAY=:0 notify-send -u critical -i ~/icons/backup.png "rsync completed" "Backup が完了しました。"
Quick Look
Gloobus-Preview を導入すれば Mac の Quick Look のようなプレビューが可能となる。Emacs からこの gloobus-preview を利用するには、設定ファイル (~/.emacs.d/init.el) に、
(defun dired-gloobus-preview () "In dired, preview with Gloobus-Preview." (interactive) (let ((file (dired-get-filename)) (process (get-process "gloobus_preview"))) (if process (kill-process process) (start-process "gloobus_preview" nil "/usr/bin/gloobus-preview" file)))) (add-hook 'dired-mode-hook '(lambda () (define-key dired-mode-map (kbd "SPC") 'dired-gloobus-preview)))
と書いておく (こちらのコード)。Dired Mode でスペースキーを押すことでファイルや画像をすばやく閲覧できる。
Dictionaries
EPWING 形式 (JIS X 4081) の辞書を検索するには Mac でも Ubuntu でも Emacs の Lookup (+ media) を使用している。
Ubuntu には GoldenDict という StarDict や Babylon など複数の辞書フォーマットをサポートする検索ソフトがあって、すこぶる便利である。上来とは反対に Mac でも使用したいソフトだが、Mac 版 はまだ安定していないようだ。
GoldenDict の Preferences で以下のように Hotkey を設定しておけば clipboard の単語を「Ctrl + Alt + D」で検索できるようになり、Mac の「Ctrl + Cmd + D」でのポップアップ辞書検索に近い動きが実現する。もっともこちらの方が気に入っているのだが。
Spotlight
ファイル検索には上記の Unity や Synapse を利用すればよいが、頻繁に検索するディレクトリに関しては全文検索システム Hyper Estraier で予め索引を作成しておくとすばやく目的のファイルを見つけることができる。索引は cron で定期的に更新している。実際の検索は端末からではなく Lookup の ndest エージェント を使用している。
Mac には優れたメーラ「Mail.app」があるが、Emacs からメールの作成・送受信を行いたいので Mac, Ubuntu 共に Mew を利用している。Gmail を使用していればメール受信のデスクトップ通知には Gmail Notify が利用できる。
Mew の Summary モードであるメールにカーソルを合わせ M-x org-capture でメモを取ると、そのメールへのリンクが自動的に挿入される。これがすばらしく便利である。
LaTeX
Debian 系の Ubuntu ではパッケージ管理コマンドに apt-get が用意されており、大抵の場合これで事足りるが、TeX に関しては最新版の TeX Live 2011 をインストールした。TeX Live のアーカイブを展開すればインストーラーが用意されているので、これを実行すればよい。
$ sudo ./install-tl
アップデートは次のように行う。
$ sudo /usr/local/texlive/2011/bin/x86_64-linux/tlmgr update --all
この際、必ずフルパスで実行しなければならない。というのも、Ubuntu の sudo は --with-secure-path でコンパイルされているので、PATH 環境変数は sudo 実行時に secure path によって置き換えられるようだ (cf. secure_path)。この secure_path を読み込まないためには /etc/sudoers に、
Defaults !secure_path
を加えると可能だが、セキュリティ上よくないかもしれない。
Defaults secure_path=/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/usr/games:/usr/local/texlive/2011/bin/x86_64-linux
と末尾に texlive 2011 のパスを追加しておいた。これで、
sudo texhash
というように texlive に含まれるコマンド類もフルパスで入力しなくてもよい。
もう一つ気になった点は dvipdfmx のあとで正常に pdf は生成されるものの、
** WARNING ** 1 memory objects still allocated
という警告が出る。しかしこれはどうも開発者へのメッセージらしく無視してもよいらしい (cf. dvipdfmx throwing a warning)。
Org-Mode
ちなみにこの記事は ASUS UL20A 上の Ubuntu から org2blog.el を用いて編集・投稿している。ブログの記事は Dropbox で Mac と共有しているので、あとから Mac 上で編集することもできる。また、Blog の記事だけでなくメモや TODO などの Org ファイルはすべて Dropbox フォルダに置いているので、MacBook Pro, iPhone (MobileOrg), ASUS UL20A (Ubuntu) で同じファイルを確認・編集することができる。
参考
- ul20a @ ウィキ
- Linux/Ubuntu (TeX Wiki)
Footnotes:
1 Font の設定は sakito さんのページ の font-spec を利用した設定をしている。スペックが低いせいか (?) face-font-rescale を設定すると rescale された文字を含むファイルで動作が若干鈍くなる。なお、遊佐泰紀さんによる プログラミング用フォント Ricty を利用すると、半角文字と全角文字の比が 1:2 となることをはじめ、Unix 系のコーディングの使用に最適化されたフォント表示が、とてもシンプルな設定で可能となる。
2 Anthy (egg-anthy) も使いやすいがどうも Emacs の Org-Mode と相性が悪い。なお、Google 日本語入力チームによる TechTalk ビデオと資料が こちら で公開されている。